現場で使用する型枠は、想定より早く劣化するケースが少なくありません。その背景には、過酷な環境条件や素材特性、運用方法の影響があります。本記事では主な原因と資材選定のポイントを紹介します。
建設現場は型枠にとって非常に過酷な環境と言えます。コンクリートを打設する際、パネルは常に水分と強アルカリ性の成分に晒され続けています。これに加えて、日中の直射日光による高温状態と夜間の冷却が繰り返されるため、素材そのものが激しく伸縮を繰り返します。このような急激な温度変化や化学的ストレスが、パネルの組織を内部から脆くさせる要因となります。一度でも微細な亀裂が入れば、そこから水分が浸入してさらに劣化が加速するため、環境への配慮が欠かせません。
カタログスペックに記載されている転用回数は、あくまで理想的な条件下での数値であることが少なくありません。実際の現場では、コンクリートの側圧や振動機の接触など、想定以上の負荷がかかる場面が多々あります。劣化が早いと感じる背景には、この理想値と現場実態との乖離が関係している場合が多いようです。素材の限界を正しく見極めず、無理な回数の転用を強行すると、最終的には施工精度の低下を招くだけではなく、型枠自体の修復不可能な破損に繋がってしまいます。
型枠の寿命を縮める大きな要因として、組み立てや脱型時の物理的な衝撃が挙げられます。特に解体作業において、バールなどで無理にこじ開けたり、高所から放り投げたりするような扱いは、パネルの歪みや角の欠けを招く直接的な原因になります。一度生じた歪みは、次回の組み立て時に大きな隙間を生み出すため、結果として製品寿命を早めてしまいます。丁寧な取り扱いを徹底することは、結果として資材の買い替え頻度を抑えるための最も効果的な手段と言えるでしょう。
木製合板パネルにおいて最も警戒すべきは、水分の吸収による腐食です。コンクリートに含まれる水分が木材の繊維に浸透すると、膨張と乾燥を繰り返す過程で合板の層が剥がれる「剥離」が発生します。また、長期間湿った状態が続くとカビや腐敗が進み、パネルの強度が著しく低下します。表面の塗装が摩耗した状態を放置すると、木目がコンクリートに転写されるだけでなく、剥離抵抗が増して脱型時にさらに表面を傷めるという悪循環に陥りやすくなります。
メタルフォームなどの鋼製型枠は、強度こそ高いものの、錆による腐食が最大の弱点です。コンクリートの水分や雨水に晒されることで、表面やエッジ部分から酸化が進み、徐々に強度が失われていきます。特に接続部やボルト穴付近に錆が発生すると、パネル同士の密着性が損なわれ、コンクリート液の漏れを引き起こす可能性が高まります。また、長年の使用による熱疲労や機械的応力が蓄積されることで、目視では分かりにくい微妙な反りや歪みが生じる点にも注意が必要です。
軽量で扱いやすいアルミやプラスチック製の型枠ですが、これらは表面の硬度が比較的低いため、物理的な傷がつきやすいという特徴があります。特に振動機(バイブレーター)のヘッドが直接当たったり、硬い清掃道具で表面を擦ったりすると、微細な傷が無数に発生します。この傷にコンクリートの微粒子が入り込むと、脱型時の「離れ」が悪くなり、表面がむしり取られるような劣化が進みます。金属製のような錆の心配は少ない反面、表面の平滑性をいかに維持するかが寿命を左右します。
型枠の劣化が早いと感じる場合、そもそも選定した素材が現場の転用計画に見合っていない可能性があります。数回しか使わない現場に高価な金属型枠を投入するのは非効率ですが、逆に数十回の転用を想定している現場で安価な合板型枠を使い回すのは無理があります。計画されている打設回数や求められる表面精度を考慮し、トータルコストでの判断が求められます。初期コストだけでなく、メンテナンス費用や買い替え頻度を含めた多角的な視点を持つことが重要です。
近年では、表面に特殊な樹脂コーティングやフィルム加工を施した型枠パネルが普及しています。これらは一般的な合板パネルに比べて耐水性や耐摩耗性が格段に向上しており、過酷な条件下でも劣化のスピードを緩めることが可能です。転用回数が大幅に増えることで、最終的な1回あたりのコストを低減できるケースが少なくありません。仕上がりの美しさも維持しやすいため、品質管理の観点からも検討する価値は十分にあります。
全ての資材を自社で保有・管理しようとすると、メンテナンスの負荷が大きくなり、結果として管理が行き届かずに劣化を早めることがあります。高頻度で使用する標準サイズのパネルは自社で保有し、特殊な形状や一時的に大量投入が必要な場合は、レンタル資材を活用するのも賢い選択です。レンタル会社では専門の洗浄ラインや補修設備を備えていることが多いため、常に高品質な型枠を使用でき、現場での管理コスト削減にも寄与します。
型枠の劣化が早い原因は、現場の環境的な要因から素材ごとの特性、そして運用方法まで多岐にわたります。木製や金属製といった素材ごとの弱点を正しく理解した上で、現在の現場に最適な資材を選び直すことが、結果として最も効率的な劣化対策となるでしょう。
管理の手間を減らしつつ、高い転用率を維持するためには、高耐久なコーティングパネルの導入やレンタル資材の活用も有効な選択肢です。本記事を参考に、単なるメンテナンスの強化だけでなく、資材の「選び方」から見直すことで、現場全体のコストパフォーマンス向上を目指してみてはいかがでしょうか。
大きく3つに大分される型枠の素材ごとに、おすすめのメーカーをご紹介しています。
・一般的に広く使用されている木製合板
・残材を気にしなくてよいと近年注目の樹脂製
・インフラ土木などでも活躍している鋼製
引用元:三基型枠工業
http://www.sankikatawaku.co.jp/
引用元:株式会社フォービル公式HP
https://kwa5ykjyax.lp-essence.com/
引用元:戸田工業株式会社公式HP
https://www.toda-mold.co.jp/