建設業界の喫緊の課題である人手不足と高齢化に対応するため、製鋼型枠工事における省人化と生産性向上は不可欠です。
本記事では、熟練の技術に依存していた作業を革新するシステムと工法を解説します。
スマートセンサ型枠システムは、IoT技術で型枠やコンクリートの状態をリアルタイムに可視化し、省人化と品質管理を両立させる仕組みです。温度・成熟度(強度推定)を計測して脱型時期を適正化するシステムや、型枠の側圧・アンカー荷重・位置合わせを監視するシステムが実用化されています。これにより、経験や勘に頼りがちだった判断をデータで行え、待機・巡回の手間を抑制できます。
DUO(デュオ)は、脱構築可能な複合材型枠システムであり、素材と構造によって現場の省人化に貢献します。合板や鋼製型枠の代わりに、リサイクル可能なポリマー複合材を使用しており、非常に軽量で耐久性が高いのが特徴です。
この軽量性により、従来の型枠と比較してクレーン作業への依存度が低下し、人力での運搬・組立・解体作業が容易になります。また、DUOの型枠は工具を使わず、専用のコネクターで簡単に結合・分離できるため、熟練の型枠大工でなくても短時間で施工が可能となり、作業の平易化・省人化が図れます。部材の再利用率も高いため、産業廃棄物の削減にも寄与する環境配慮型システムです。
大型型枠ユニット化工法は、型枠パネルを現場の地組みヤードや工場で事前に大型ユニットとして組み立てておく工法です。このユニットをクレーンで一括して建て込み、解体・転用時もユニットのまま次のスパンや上階へ盛替えます。
これにより、現場での煩雑な型枠の細かな組立・解体作業が大幅に削減され、作業人員と作業時間の短縮、すなわち省人化が図られます。特に壁や床など面積の広い部位で高い効果を発揮します。
鉄筋機械式継手・機械式定着は、鉄筋の接続や定着に溶接や重ね継手ではなく、専用のカプラー(継手)や定着具を使用する工法です。
この技術は、現場での鉄筋の加工作業や、重ね継ぎによる結束作業を減らし、施工の簡素化・省力化が可能です。高所や狭隘部での溶接作業が不要になるため安全性も向上し、鉄筋工の労務削減に直結します。また、品質が安定しやすく、配筋の精度向上にも寄与します。
鋼製型枠は、従来の合板型枠に代わり、鉄やアルミなどの金属製パネルを使用する型枠です。合板型枠のように数回の使用で劣化する心配がなく、高い転用回数を持ちます。
これにより、型枠の交換・補修の手間が大幅に減り、資材管理や廃材処理に関わる現場労力の削減が可能です。また、一般に強度が高いため、支保工や締め付けパイプの削減も可能となり、組み立て・解体作業の省人化に貢献します。
スラブ断熱型枠(ピットワーク)は、スラブの底型枠として断熱パネルを兼用した製品を使用する工法です。
この断熱パネルはコンクリート打設後も撤去する必要がなく、そのまま断熱材として構造物に残されます。型枠の解体作業自体が不要となるため、型枠撤去に関わる人員と時間が削減されます。また、断熱材の設置工程も型枠工事と一体化されるため、工種間の連携も効率化することが可能です。
構造部材の各種PCa化とは、柱、梁、床版、壁などの構造部材を、現場ではなく工場で事前に製造(プレキャスト化)しておく工法です。工場で製造された高品質な部材を現場に運び込み、クレーンで設置・接合するだけで構造体が完成します。
これにより、現場での型枠組立、コンクリート打設、養生といった一連の作業が不要となり、工期短縮と現場作業員の省人化に貢献します。
製鋼型枠工事の省人化は、「自動化・情報化」と「工法の革新」の二軸で急速に進んでいます。
スマートセンサ型枠システムによる状態の「見える化」は作業のムダを排除し、DUOや大型ユニット化工法は現場作業の平易化・効率化を実現しました。また、PCa化や断熱型枠は型枠作業そのものを削減します。これらの技術は、作業人員の削減だけでなく、安全性向上、品質安定化、そして工期短縮という多大なメリットをもたらします。
今後のさらなるAI・ロボティクス技術の導入により、型枠工事はより魅力的で持続可能な産業へと変革していくでしょう。
大きく3つに大分される型枠の素材ごとに、おすすめのメーカーをご紹介しています。
・一般的に広く使用されている木製合板
・残材を気にしなくてよいと近年注目の樹脂製
・インフラ土木などでも活躍している鋼製
引用元:三基型枠工業
http://www.sankikatawaku.co.jp/
引用元:株式会社フォービル公式HP
https://kwa5ykjyax.lp-essence.com/
引用元:戸田工業株式会社公式HP
https://www.toda-mold.co.jp/